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Frightened dog chews door to escape fireworks - Local News - Waikato Times緊急事態に直面した時、人々は思いもかけない底力を発現する。いわゆる「火事場の馬鹿力」である。
ヒトは全力を出すつもりで持てる力を発揮しようとしても、普段はその力が50〜60%ほどしか出せないという。というのも、脳から出た指令が筋肉へ完全には行き届かず、筋肉を持て余してしまっているからだ。
つまるところ筋肉に余裕のある状態が、我々が認識している己の限界なのである。
何故、脳からの刺激によってヒトの筋力を100%発揮できないのか、については不透明なところも多いが、とりあえず「腹八分目」みたいな感じなのであろう。身体に負荷をかけないよう力をセーブしているのだ。
さて、ニュージーランドのワイカト地方にこの秘められた馬鹿力を発揮したものがいる。
彼の名はレヴィといった。その立派な体躯は筋骨隆々というよりスマートであり、血気盛んにその身体を撓らせて駆けずり回る様は家族の活力にもなっていた。
食欲旺盛なレヴィはこの日も2杯ほどおかわりをし食事を平らげると、何かに怯えるように弱々しい声を漏らした。
彼の家族、マリア・フレーザー=クルックさんが何事かと空を見上げるとそこには巨大な輪が、形の良い花火が大輪の花を咲かせていたのである。レヴィはこの花火に怯えていたらしい。
なおも打ち上げられる花火に怯え屡鳴くレヴィを不憫に思ったマリアさんは、レヴィを促すと自宅のガレージの中へと導いた。
ところがその後もレヴィの悲鳴に似た訴えは絶える事がなかった。それどころか尚も哭びは必死さを増していた。
その声は次第に途切れ途切れになり、やがて聞いたものがうち震えるほどに苛辣なものとなっていた。さすがに家族が聞いていたら心配になりそうなものだが、既にマリアさんは就寝中。すでに佳境へ向かっていた事態に気づく者はいなかった。
翌朝のことである。マリアさんがガレージの元へ立ち寄ってみると、そこには血痕を付着させた大穴が穿たれており、その中には既にレヴィの姿はなかった。
これは大事だと動転してレヴィの名を叫んだマリアさんだったが、拍子抜けするほど元気な姿でレヴィは自宅裏から駆けて来た。ほっと胸を撫で下ろしたマリアさんはそこで気づく、レヴィが口と足に怪我を負っているのだ。傷は浅そうなものの、痛々しそうな姿である。
急いで処置を施し、レヴィを病院――動物病院へ運び込んだレヴィさんはそこで冷静さを取り戻しはたと気づいた。
アルミ製の扉にぽっかりと空いた穴、相当量の血液、口を負傷したレヴィ……。
完全にマリアさんの合点がいったのは包帯を巻いたレヴィといっしょに帰宅し、ガレージの前で五度ほど瞬きをした後のことだった。
ガレージの中に閉じ込められ花火の音に震え驚いていたレヴィは、パニック状態をおこしたらしく、アルミでできたガレージの扉を噛みちぎって抜け出した模様である。
レヴィが口と足に負った怪我の程度は何れも軽いとのこと。
国際時事新聞: 花火にびっくり、犬がアルミ製の扉を噛みちぎるより
マリアさんはレヴィが見せた「火事場の馬鹿力」に驚くとともに、花火の規制を訴えているという。